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宮之上貴昭執筆による長期連載


by ymweb
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【彼女が出来た!?】

〔前号までのあらすじ〕
「宮之上にギターは楽器が安いから音がしょぼい!」
バンド仲間の添田からこう言われて一念発起!
その時は胸倉つかんで殴りかかったものの、
神田の楽器屋で値切って買った1万8千円のギターでは
確かにプロとして情けない部分もあった。
そこでステータスと言われる「ギブソン」を買うために、
キャバレー以外に昼間のバイトもしようと決断。
家の近くにある喫茶店の募集張り紙を見て面接に行った。

【彼女が出来た!?】
「純喫茶・多摩」は家から道路を挟んだすぐのところにありました。
純喫茶と銘打っていますが、メニューにはドリンク以外にカレーやピラフ、
スパゲティやサンドイッチもあって、
どちらかといいえば軽食喫茶という感じの小ぢんまりとしお店。
【彼女が出来た!?】_e0095891_16233115.jpg


大学を出たばかりのボンボンという感じの若いマスターが出てきました。
18歳のわたしをしげしげと見て、安い時給と条件を言ってきましたが、
わたしはその条件を承諾してこの店でバイトすることになりました。
※この経験が後にわたしのコーヒーと料理に対する探究心、
また自分の店をオープンさせる礎となりました。

チーフと呼ばれる菊池さんは無口ですが、素晴らしい料理の腕前。
あちこちのレストランでも修行してきた人らしい。
わたしに優しく対応してくれて、
コーヒーの淹れ方や料理を丁寧に教えてくれました。
【彼女が出来た!?】_e0095891_16244598.jpg

とりわけ彼の作るカレーは絶品で、この店でも人気となっていました。
【彼女が出来た!?】_e0095891_16241569.jpg


マスターは店の2階にある自宅の部屋で毎晩麻雀に明け暮れていて、
たいてい昼過ぎに起きてお店に降りてご飯を食べに来ます。
従業員からは好感度は持たれていないようでした。(+_+)
ウェイトレスは2名いて、現在で言うところのヤンキーな感じ。
でもお二人ともとても美人でした。

そんなある日のこと、女子高生のアルバイト、
本村康子さんが入って来ました。(もちろん名前は変えてありますw)
彼女は「芽生え」でブレイクしているアイドル,
麻丘めぐみに感じがよく似ていました。
【彼女が出来た!?】_e0095891_16252412.jpg


彼女が仕事に慣れてきたころ、
近くに誰もいなくなった瞬間を見つけて
わたしにプレゼントを渡しました。('_')
ありゃ。。ひょっとしてわたしに想いを寄せたのでしょうか、
プレゼントのチョコレートの箱の中には「大好き!♡」とあります。(*_*;
18歳の宮之上、大いに照れるも、
仕事の休みには高尾山になど出かけて
初デートを健全に楽しみました。(^_^)/~

こうして夜はキャバレー、昼は喫茶店という生活がしばらく続き、
お金も貯まっていきました。
その後キャバレーバンドのバンマスと音楽的なことで揉めて
大げんかになり(また?w)
良い条件のところを探して自分でバンドを組んで演奏することにしました。
八王子以外にも相模原や千葉・本八幡など、自分がバンマスとしてトリオ、
あるいはボーカルを加えて演奏しました。
(当時はまだまだ好景気でしたね)

19歳、夢のギブソンを買うメドが付きました。(^^♪
どうせ購入するなら憧れのウェス・モンゴメリーと同じ「L-5」です。
御茶ノ水の楽器屋を回って「須賀楽器店」というお店でこれぞ!
という1本を見つけました。
当然現金で買えるはずもありません(笑)、
いくらかの頭金を払って残りは10回払いです。
でも手にしたのですギブソンを、それもL-5を!\(^o^)/
【彼女が出来た!?】_e0095891_16294261.jpg


しかしこの後そのL-5が大変なことに!
次号《L-5盗まれる!》 

【お知らせ】
いつも熱心に「じゃずぎたりすと物語」を読んでくださりありがとうございます。
執筆から今年で10年を迎えますが、皆さまに嬉しいお知らせがあります。
この「じゃずぎたりすと物語」は編集して書籍化を予定しています。
詳細が決まりましたらまたご案内いたしますが、良い報告が出来ますことを願っています。
引き続きよろしくお願いいたします。
宮之上貴昭
# by ymweb | 2017-02-13 16:26 | じゃずぎたりすと物語

喧嘩!

キャバレーでの演奏もずいぶん慣れてきて、
もっとジャズが演奏したいという気持ちが高まっていた中、
友人が八王子に「アローン」というジャズハウスをオープンするとの話。
その店に出演するために自分のバンドを組んで、
昼間毎日のように国立音大打楽器科の校舎まで出かけて練習しました。

キャバレーのメンバーはわたしの音楽を満足させるものではありません。
時として、バンマスと演奏のリズムなどについて意見が合わず、
しばしば激しい口論となりました。 
年上であっても、納得できないことは譲らない性格は、
自転車旅行で培った(培ってしまった?)のかもしれません。(-ω-)/
この性格は次に起きる事件と関係があります。

キャバレーの休み時間は、
他のキャバレーで演奏するミュージシャンを聴きに行ったり、
仕事の情報や世間話など、言わば勉強と交友の時間でもありました。
以前お話ししたように日本はまだまだ好景気で、
徒歩圏内にたくさんキャバレーがありました。

近くのキャバレーバンドで演奏している少し年上の添田は
テナーとフルートが上手く、
バンド仲間からもチヤホヤされていましたが、
彼には少し酒乱の気がありました。
彼の楽屋で話をしていたある日のこと、酔った添田はわたしに、
「宮之上、お前しょぼい音出すなよ!」
「楽器が悪いからな。。。」

他のバンドマンはわたしのかたを持って
「添田、音楽は楽器ではないぞ、演奏内容だ!」

楽屋は険悪ムードでしたが、一番切れるのが早いのはわたしでした。
近くにあったダルマ(サントリーウィスキー)のボトルを手に取り、
添田の頭部めがけて思いっきり腕を振りかざしました。(; ・`д・´)
喧嘩!_e0095891_1821159.jpg


これに驚いたバンドのギタリストが慌てて止めに入り、
あと数センチのところでわたしは犯罪者にならないで済みました。(*_*;
※この暴力的な性格はしばらく続きます(笑)

わたしの使っているギターは
神田で値切りに値切って買った1万8千円のグヤトーン。
確かに「しょぼい音」と言われても仕方ないかもしれません。
しかし当時でさえ安いギブソンでも30万円はしましたが、
プロと呼ばれるギタリストのほとんどはギブソン社製の楽器を使っていました。
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1万8千円と30万円。。。 ( 一一)ジー「

何としてでも手に入れたいです、ギブソン。

そんなある日のこと、
家の近くにある軽食喫茶の「アルバイト募集」の張り紙が目に入りました。
ギブソン買うために昼間はここで働いて夜はキャバレーでの演奏?!

早速面接に行くことにしました。

はたして面接は受かるのでしょうか、
そしてギブソン買うお金は貯まるのでしょうか?

                            つづく




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# by ymweb | 2016-08-19 18:18 | じゃずぎたりすと物語

モテモテ!?

〔前号までのあらすじ〕

こうしてキャバレーで順調に演奏しているある夜のこと、
事件が起きました。

「宮ちゃんはわたしのものよ!!」
「何言ってんの?!私の宮ちゃんよ!!」

何と、
ホステス同士がわたしのことでつかみ合いになっていました。|д゚)

ギョエ~~!! ('Д')

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【モテモテ!?】

音楽、そしてジャズのことしか眼中になかったのですが、
驚いたことに、知らない間にキャバレーのホステスの間で人気になっていました。

演奏の良し悪しなんてホステスはほとんど分からないと思うので、
ひょっとしたら、若さに加えて当時流行っていた服装や長髪がモテた原因なのかもしれません。
「ミ~ヤちゃ~~ん♡」
階段ですれ違いざまに抱きしめられたり、
「ねえ~♡ 飲みに行かな~い?」
帰りに店の裏出口で待っていて声をかけられたりしました。|д゚)

こんなこともあったのですね~
この日に時間を戻したい!?(笑)

しかしわたしは取って間もない免許で車を運転して来てましたから飲みになど行けません。
だいいち興味ありません、ホステスよりジャズです。(-ω-)/
少し嘘くさいですが、まあ本当です。(^^)/

数日後、キャバレーが開店する前の早い時間に、
店長とホステス、そして「黒服」と呼ばれるスタッフで「ミーティング」が行われていました。

「ホステスとバンドの付き合いは禁止!もしその状況が認められたら店を辞めてもらいます!」

ほら、だから言ったでしょ( 一一)
店側も客をそっちのけでバンドに色目を使うホステスなど必要ないのです。

その後わたしに直接色目を使って近づくホステスは少なくなったものの、
客と踊っている時にわたしの方を見てウィンクしてくるホステスはいました。

そんなキャバレー演奏生活もおおむね順調にこなしていましたが、
昼間は時間があったので、国立音大の打楽器科の教室で仲間と練習しました。
※当時は音大はJR国立駅の富士見通りにありました。

こうしているうちに(もっとジャズを演奏したい)という気持ちが強くなってきました。
予てから応募していた新宿「ピットイン」で朝の部の出演が決まりました。
演奏が良ければ、ひょっとしてレギュラーで出演出来るかも。。。
そんな願いもありました。

練習している臨時メンバーで初出演しましたが、
身内の客は来てくれましたけど、ブッキングを担当したり、
音をじっくり聴いてくれるようなスタッフなど一人もいませんでした。

現在は分かりませんが、
当時は一流と呼ばれる「夜の部」出演するサイドメンの一人がリーダーとなって演奏するのが「昼の部」、
「昼の部」のサイドメンがリーダーとなって演奏するのが「朝の部」、
という感じで基本的なシフトが組まれていて、
新人はその「空いた枠」に入れていくという感じだったように思えます。
※ずっと後になって「夜の部」でレギュラー出演することになりましたが。(^^♪

しばらくすると、友人の青木君がジャズのライブハウスをオープンするので是非出てほしいとのこと。
キャバレーのある同じ街、八王子でした。
「アローン」と名付けられた店に定期的な出演が決まったのです。

ジャズの道スタート!?

次回「喧嘩!」

また波乱含みで   つづく


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# by ymweb | 2016-08-12 18:56 | じゃずぎたりすと物語

キャバレーデビュー

こうしてオーディションに無事合格して、
八王子のキャバレー「ニュー・クラウン」にてプロデビューとなります。
宮之上貴昭18歳です。
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日本が高度急成長を遂げた時代の後半でしたが、
まだ好景気の名残はあって、この3階建てのキャバレーには、
1階にショーを受け持つメインバンドとチェンジバンドの2つ、
2階にも同様に2つ、3階に1つの、計5つものバンドが入っていました。
 
私が演奏することになるのはチェンジバンドのギタートリオで、
メインバンドの演奏と交代でステージに上がります。
中には休憩時間に他の店に飛んで行き、
掛け持ちで演奏しているミュージシャンもいました。
カラオケの無い時代でしたからミュージシャンはたくさん仕事がありました。

ステージは一晩3、40分が4回だったかな。
客のいない早い時間はずっとジャズを演奏することが出来ました。
今考えてみるとこの時間がとても勉強になったのかなと思います。(^^♪

客が入ると誰もが知っている歌謡曲やルンバ、
チャチャ、演歌も演奏しました。
「影を慕いて」「夜の銀狐」「ラブユー・東京」「ある恋の物語」
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「マイアミビーチ・ルンバ」「キサス・キサス・キサス」・・・
実はお手の物でした。 今も?(笑)
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こうして初めてのプロ活動はスタートしました。

ホステスたちと隣り合わせの控室は、
化粧と汗の臭いが染み込んでましたが、
大好きな音楽でお金をもらえることが嬉しかったのです。
日曜日は休みで、1ヶ月のギャラが確か7万5千円、
実家から通っていたので衣食住の心配もなく、
悠々自適な生活でした。

キャバレーで順調に演奏しているある夜のこと、
事件が起きました。

「宮ちゃんはわたしのものよ!!」
「何言ってんの?!わたしの宮ちゃんよ!!」

何と、
ホステス同士がわたしのことでつかみ合いになっていました。|д゚)
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ギョエ~~!! ('Д')

波乱含みで つづく





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# by ymweb | 2016-08-08 16:41 | じゃずぎたりすと物語

オーディション

〔これまでのあらすじ〕

高校も無事に卒業することが出来て、
ジャズギターの研鑽に勤しむ日が続いていたそんなある日のこと、
音楽仲間からの情報で、
キャバレーのバンドリーダーがギターを募集しているとのこと。
オーディションを受けるために八王子まで出かけました。

訪れたキャバレーの控室は
初めて嗅ぐ独特な臭いに満ちていました。

エレベーを持ったバンマスが
「みやのうえ君、だね?!」

「何か演歌弾ける?」

"(-""-)"

つづく。

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【オーディション】

演歌!!?? |д゚)

最初はドキッとしましたが、実はわたし、兄の影響で、
ギターのルーツが古賀正男にあったことを覚えていますか。
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ジャズの勉強しているけど、高価なレコードなどそう買えるものでもなく、
テレビやラジオから流れるすべての音楽が
ギターの勉強につながっていました。
したがって聞いたことのある、
というか無理やり放送で聞かされている演歌を弾くことなど
わたしにとっていとも簡単なのでした。(^^♪

しかし、でした。
バンマスがわたしに赤い本を差し出してパラパラめくり、
「ではこの曲弾いてみて!」
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(*_*;

そう、譜面はまったく読めないのです。

まったく読めないわたしにバンマスは
「じゃぁ、この中で何か知っている曲ある?」
ほとんど知ってましたし、
逆に知っている曲ならなんでも弾くことが出来ました。

バンマスはそうしたわたしの才能?に気付いたのか、
「では歌手の名前を言うからその人の曲弾いてみて!」
「はい、森進一!」
♫「おふくろさん」 ♫「えりも岬」 ♫「港町ブルース」
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「では青江美奈!」
♫「池袋の夜」♫「長崎ブルース」♫「伊勢佐木町ブルース」
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「では美空ひばり!」
♫「柔」♫「悲しい酒」♫「リンゴ追分」
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バンマスの顔が笑いで止まらなくなっています。
そう、わたしは放送で数回聞いただけで
イントロからエンディングまですべて覚えてしまう特技の持ち主、
いわゆる「福耳」の持ち主なのでした。( `ー´)ノ ソレチャウヤロ!

かくして、生まれて初めてのプロデビューとなります。
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そしてキャバレーのお姉さま方の熱~い視線を浴びることとなります(-ω-)/


                            つづく
# by ymweb | 2016-08-03 16:10 | じゃずぎたりすと物語