14 〈ウェス・モンゴメリーの衝撃〉
2007年 05月 14日
14 〈ウェス・モンゴメリーの衝撃〉
ジャケットには〈For Django/Joe Pass〉と書かれてあります。
今まで弾いてきたギターソロからは想像もできない音列の連続で、
心地よく心に入ってきます。
しかしどうしてこんな音を選んでアドリブすることが出来るのだろう。
どういう解釈からアドリブしているのだろう。。。
率直な疑問が沸き、情報家の阿部君にそのことを質問してみると、
「ああ、無理無理!」
ジャズは和声をきちっと勉強しないと弾くことが出来ないね~~」
なるほど確かに生意気なその軽い言い方に、
モチベーションはいきなり低下したものの、
いや、そんなはずはない、音楽をきちっと学習しなくたって、
耳と技術と感性で何とか演奏できるはずだ!
ジャズに対する興味と、何が何でも弾いてやるという気持ちは増し加わっていきました。
夜も遅くなってきたので帰ることにしましたが、
家路に着くまでの間、頭の中はさっきのジャズギターのことでいっぱいでした。
ある日のこと。
私のジャズに対する士気を削がれるもう一つの出来事がありました。
テレビで珍しく〈Make Jazz〉というジャズの番組が放送されることになりました。
私がその番組を初めて見た時は、日本のピアニストの演奏でした。
目を凝らし、耳を凝らして画面を見つめていると、
何とその人は、唸ってからよく解からない音列を弾いたとたん、
肘でピアノの鍵盤を叩き出しました。
目が点です。
全くもって理解不能です。
このことを阿部君に報告するべく、翌日にまた彼の家を訪ねました。
「あれはフリージャズといって、ジャズでも特殊な部類だからね~~」
彼は何でも知っています。
ところがです。
「でもあれはデタラメでインチキだろ??」との質問に対して、
「いや、ちゃんと和声と理論に沿って演奏しているさ」
何とも予期せぬ答えが返ってきました。
肘で鍵盤を叩く音楽のどこが「和声と理論に沿っている」だ!?
彼の言葉も信じられないし、信じたくありませんでした。
フリージャズがどのようなものかは解かりませんが、
少なくとも私の演奏したいジャズではありません。
「宮之上ね~」
「ん??」
1級下の阿部君はいつの間にか私を呼び捨てにしていました。
「最近手に入れたんだけど、このレコード知ってる?」
「ジャズにもいろいろあるからね~ 宮之上はこれがいいかな。。。」
手渡されたレコードはEP盤で、
「A Day In The Life/Wes Montgomery」と書いてあります。

彼はそう言うと、私に渡したジャケットから中身だけを取り出して、
プレーヤーの上に小さなレコード盤を乗せました。
♪ポポポッポ ポッポ ポポッポ~ ♪
流れてきたのはタイトル曲、ビートルズの〈A Day In The Life〉でした。
何ぢゃこれは!!!
これはギターではない!
こんなサウンドがギターで出るはずがない。
何ぢゃこれは!!!
「この人はウェス・モンゴメリーと言って、親指1本で演奏してるんだよ。」
モダンなフレーズに加えて、太くて優しいサウンドは今まで聴いたことのないものでした。
それにしてもこの音色はどうなっているんだろう。。。
疑問に思ったときに
「これはオクターブ奏法と言ってね、本に書いてあったんだけど、
こんな風にオクターブを押さえて他の弦をミュートして弾くらしいんだ」
さすがに情報家である。
彼の家は、ギターを弾いていると灰皿が飛んでくる極悪な私の家の音楽環境とは全く異なり、
そもそも父親がジャズが大好きという恵まれた音楽環境にありました。
この部屋の多くのレコードも父親の持ち物かもしれません。
このウェスのレコードは衝撃でしたが、曲はポップで親しみやすいものでしたから
オクターブ奏法の練習さえすれば弾けそうな感じでした。
貯めた小遣いで同じレコードを買って、早速オクターブ奏法の練習を開始することにしました。
ところがです。
練習で弾いているうちに1時間もすると右親指は腫れ上がり、
全体に血豆になってしまいました。
さらに予期せぬ重大な事態はこの後に起きます。
何と! 弾いていたギターが!!
ジャケットには〈For Django/Joe Pass〉と書かれてあります。
今まで弾いてきたギターソロからは想像もできない音列の連続で、
心地よく心に入ってきます。
しかしどうしてこんな音を選んでアドリブすることが出来るのだろう。
どういう解釈からアドリブしているのだろう。。。
率直な疑問が沸き、情報家の阿部君にそのことを質問してみると、
「ああ、無理無理!」
ジャズは和声をきちっと勉強しないと弾くことが出来ないね~~」
なるほど確かに生意気なその軽い言い方に、
モチベーションはいきなり低下したものの、
いや、そんなはずはない、音楽をきちっと学習しなくたって、
耳と技術と感性で何とか演奏できるはずだ!
ジャズに対する興味と、何が何でも弾いてやるという気持ちは増し加わっていきました。
夜も遅くなってきたので帰ることにしましたが、
家路に着くまでの間、頭の中はさっきのジャズギターのことでいっぱいでした。
ある日のこと。
私のジャズに対する士気を削がれるもう一つの出来事がありました。
テレビで珍しく〈Make Jazz〉というジャズの番組が放送されることになりました。
私がその番組を初めて見た時は、日本のピアニストの演奏でした。
目を凝らし、耳を凝らして画面を見つめていると、
何とその人は、唸ってからよく解からない音列を弾いたとたん、
肘でピアノの鍵盤を叩き出しました。
目が点です。
全くもって理解不能です。
このことを阿部君に報告するべく、翌日にまた彼の家を訪ねました。
「あれはフリージャズといって、ジャズでも特殊な部類だからね~~」
彼は何でも知っています。
ところがです。
「でもあれはデタラメでインチキだろ??」との質問に対して、
「いや、ちゃんと和声と理論に沿って演奏しているさ」
何とも予期せぬ答えが返ってきました。
肘で鍵盤を叩く音楽のどこが「和声と理論に沿っている」だ!?
彼の言葉も信じられないし、信じたくありませんでした。
フリージャズがどのようなものかは解かりませんが、
少なくとも私の演奏したいジャズではありません。
「宮之上ね~」
「ん??」
1級下の阿部君はいつの間にか私を呼び捨てにしていました。
「最近手に入れたんだけど、このレコード知ってる?」
「ジャズにもいろいろあるからね~ 宮之上はこれがいいかな。。。」
手渡されたレコードはEP盤で、
「A Day In The Life/Wes Montgomery」と書いてあります。

彼はそう言うと、私に渡したジャケットから中身だけを取り出して、
プレーヤーの上に小さなレコード盤を乗せました。
♪ポポポッポ ポッポ ポポッポ~ ♪
流れてきたのはタイトル曲、ビートルズの〈A Day In The Life〉でした。
何ぢゃこれは!!!
これはギターではない!
こんなサウンドがギターで出るはずがない。
何ぢゃこれは!!!
「この人はウェス・モンゴメリーと言って、親指1本で演奏してるんだよ。」
モダンなフレーズに加えて、太くて優しいサウンドは今まで聴いたことのないものでした。
それにしてもこの音色はどうなっているんだろう。。。
疑問に思ったときに
「これはオクターブ奏法と言ってね、本に書いてあったんだけど、
こんな風にオクターブを押さえて他の弦をミュートして弾くらしいんだ」
さすがに情報家である。
彼の家は、ギターを弾いていると灰皿が飛んでくる極悪な私の家の音楽環境とは全く異なり、
そもそも父親がジャズが大好きという恵まれた音楽環境にありました。
この部屋の多くのレコードも父親の持ち物かもしれません。
このウェスのレコードは衝撃でしたが、曲はポップで親しみやすいものでしたから
オクターブ奏法の練習さえすれば弾けそうな感じでした。
貯めた小遣いで同じレコードを買って、早速オクターブ奏法の練習を開始することにしました。
ところがです。
練習で弾いているうちに1時間もすると右親指は腫れ上がり、
全体に血豆になってしまいました。
さらに予期せぬ重大な事態はこの後に起きます。
何と! 弾いていたギターが!!
by ymweb
| 2007-05-14 16:18
| じゃずぎたりすと物語