【帰国】
2019年 05月 28日
じゃずぎたりすと物語
執筆開始から13年目を迎えた「じゃずぎたりすと物語」
いよいよ完結です。
これまで熱心にお読みくださった方々に感謝を申し上げます。
じゃずぎたりすと物語
【帰国】
「ミヤ〜??」
一瞬疑ったような表情を見せた若い黒人の女の子。
ケネディ空港に迎えに来てくれたのは、米軍横田基地で一緒に演奏していたドラマー、エディの彼女、クローデット。
ポッチャリ系美人で、声が高くてのんびり話す。^_^

ひょっとして、首からカメラぶら下げて黒縁メガネの日本人を想像していたのかもしれない。
わたしは髪の毛はアフロヘアーでサングラス、しかもカリフォルニアの紫外線いっぱい浴びて、かなり日焼けしています。(ニッポンコクジンか!?)

エディからわたしの性格をインプットされていたのか、見た目の雰囲気からか?出会ってすぐに親しく接してくれました。
地下鉄に乗って、先ずは彼らが住むブルックリンへ向かいました。
エディのアパートに着くと、程なくしてジョージとチャッピーが帰って来ました。
挨拶もそこそこに、日本のこと、米軍基地の演奏のことなど、矢継ぎ早に質問責めです。(^.^)
行ったことのない日本に興味津々なのでしょう。
ニューヨーク初日は予約してくれていた近くの安ホテルに泊まりました。
しかし、考えることは日本語で話すのは英語なので、「知恵熱」が出そう。(o_o)
そんな時でした。
ホテルの下で「パーン!!パーン!!」
驚いて窓から覗くと、誰やら走って逃げ去る姿が。
これは明らかに拳銃の発砲音です。
しばらくして、けたたましいパトカーのサイレンの音が近づいて来ました。
そう、わたしはニューヨークの危険地域、ブルックリンにいます。

よく晴れ渡った翌日、再びエディの兄弟の家に行きました。
「Miya.Do you smoke?」
タバコなら吸うよ〜
「Yes I do」
わたしを連れて近所の雑貨店に入り、
鉄格子の先にあるレジのオヤジに、周りを気にしながらそっと5ドル渡すと、茶色の封筒に入った物を受け取りました。
彼らの意味しているsmokeは、もっといけない方のsmokeでした。(・・;)
酒好きなわたしは、この店でお酒を買おうと思いましたが、彼らはそちらには興味ないみたいでした。(^^)
アパートで、大きなテーブルにgrass(スラングです、想像してください。)を広げて、茎などを丁寧に取り除き、紙に巻きます。
実はわたし、過去に仲間からgrassをもらったことがあるのだけど、
はっきり言って、効いた試しがなく、喉が痛くなるだけでした。
これだったら酒の方がずっと良いと。
完成したのは細めを5本分くらい。
先ずは灰になる時間の無駄をなくすため?手に持って1本を4人で回し吸い。(´Д`)y━・~~
(また喉が痛くなるだけ)と思いきや、次にわたしの番になる頃は頭がグルグル。ʕʘ‿ʘʔ
なんじゃこれ〜
※決して皆さんに危険薬物をオススメしている訳ではありません、むしろ、してはなりません、念のため。
エディ家のアパートは比較的広くて、使っていない部屋があるから、ここに住んでOKと嬉しい言葉。
お世話になることにしました。
思いっきりジャズではないものの、兄はベース、弟はベースを演奏する。
わたしはギターを買いに行くことにしました。
ニューヨーク中の目ぼしいお店を何ヶ所か探したけど、結局ブルックリンの小さな楽器店で見つけたギルド社製「アーティストアワード」
これは!と感じた1本でした。
(この後、このギターを21年愛用して、たくさんのレコーディングをしました。)

このギターを手にして毎日部屋で練習、
そしてブラザーたちとセッションの日々です。
もちろん生の演奏にもたくさん触れました。
秋が来て寒い冬が来て、また春が来ました。
ビザの有効期間など、とっくに切れています。
エディたちのバイトの手伝いもしましたが、お金を使い果たしました。
考えることも話すことも英語になったころ、帰国することになりました。
はたして、長いことほっておいた妻や仲間は、わたしのことを受け入れてくれるのでしょうか。
帰国したら仕事はあるのでしょうか。
不安が一杯です。
アメリカ滞在はもとより、今までのたくさんの経験は実になっているのでしょうか。
正直なところ、自分ではよく分かりません。
おわり
長い間「じゃずぎたりすと物語」を購読くださり、まことにありがとうございました。
[速報!]
じゃずぎたりすと物語シーズン2
今夏執筆!
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宮之上貴昭1953年10月7日
東京都世田谷区生まれAB型
10歳からギターを始め、15歳からジャズに開眼。
18歳からキャバレーでプロとして活動、23歳の時に渡米し、帰国後自分のバンドで活動し、24歳の時にビル・エバンス(pf)トリオで来日したフィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)をゲストに「Song for Wes」(キングレコード)でメジャーデビュー。
その後もジミー・スミス(org)をゲストに「Touch of love」(バップレコード)、ストリングスオーケストラをバックにした「Foxy Eyes」(東芝EMI)、日本ジャズ100選にもなった「ウェス・モンゴメリーに捧ぐ」(キングレコード)などはとりわけ有名。
最新作は2019年4月に発売された「Taste of jazzguiter」(YPMレコード)
1988年ジャズヤトラ出演(インド国中で行われる)ジャズフェスティバル
1992年から連続5回モンタレージャズフェスティバル
2000年からほぼ毎年ハワイコンサート
2005年から6回カリフォルニア・サンノゼジャズフェスティバル
2013年パリでコンサート
2015年メキシココンサート
宮之上貴昭ウィキペディアより
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E4%B9%8B%E4%B8%8A%E8%B2%B4%E6%98%AD