宮之上貴昭執筆による長期連載


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2007年 04月 12日 ( 1 )

8 〈指が!〉

それまではナイロン弦で、テンションも柔らかくて弦高も低かったのですが、
購入したフォークギターは鉄弦で、テンションもきつく、弦高もえらく高いものでした。「見た目」だけで買ってしまったことをこの時につくづく後悔しました。

考えてみれば、ギターにはそれぞれ目的があります。
クラシックギターのように、単音や和音を細かく演奏するのに適しているのに対して、
フォークギターは開放弦を中心に「ジャラーン」とコードを弾く、
文字通り歌の伴奏用だ。

これまでどんな曲を練習していたかと言えば、歌謡曲からロックやクラシックまで。
それこそ巷に溢れる音楽の全て。
1日8~10時間はギターに触っていて、
ギターを弾く合間に学校に行っているという生活が続いています。

この頃までに、おおよそたいていの曲は、
耳で聴いてそれをすぐにギターで弾くことが出来ました。

しかし。。。
指が痛い!
今まで弾けていた曲も、指が痛くて思うように弾くことが出来ません。
細かいパッセージを弾けば、左手の指はそれぞれ押さえた跡がくっきりと残り、
右手の親指は腫れ上がり、程なくしてマメが出来て破れて血が滲みました。
これでは練習になりません。

話に聞いていた「ピック」を買いに楽器屋に行くことにしました。
e0095891_20265482.jpg

初めて手にした「べっ甲」柄のピックを使って猛練習の再開です。
指弾きと違い、弦の移行が難しくて練習する甲斐は大いにあります。

ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド 
ドド レレ ミミ ファファ ソソ ララ シシ ドド 
ドドド レレレ ミミミ ファファファ ソソソ ラララ シシシ ドドド
ドドドドレレレレミミミミファファファファソソソソララララシシシシドドドド

私の練習方法は、他人が見れば確かに異常だと思います。
これを飽きもせず一日中行っているのです。しかも楽しんで。

学校の帰りに、ギターを弾いているという友だちが家に遊びに来ました。
最初は一緒に話をしたり演奏したりして楽しんでいたところ、
私が突然自分の練習モードに入って、友だちが来ていることも忘れて、
何時間も同じフレーズの反復練習をしていたら、
気が付くと、友だちはいつの間にかいなくなっていました。

いいのです、友だちなどいりません。
私の親友はギターです。



そんなある日のことです。
テレビを見ていると、エレキギターで日本民謡の
〈津軽じょんがら節〉を演奏している人がいました。

そう、寺内タケシさんでした。

少し「ダサいな。。。」とは思いましたが、
あまりにもギターが上手いので、
驚き見入っていました。

うん、この人は確かにギターが上手い!

彼の出演するテレビ番組は欠かさず見ることにしました。
とりわけ、夕方6時から放送している〈シャボン玉ホリデー〉には毎回出演していて、
そのギターテクニックを惜しみなく披露していました。
とりわけクロマティックで下降する「テケテケフレーズ」は驚異的で、
何とかコピーして自分も弾けるようにと、その瞬間を食い入るように見ました。
この頃に現在のような録画する技術が発達していれば、さぞ便利だったでしょうに。

しばらくしてその寺内タケシさんが、ベートーベンの〈運命〉を弾いていました。
これはかなり難しそうです。
e0095891_20102833.jpg

たまたま友人がこのレコードを持っていて私にくれました。
〈レッツゴー運命〉??
タイトルも何だかダサいです。
当時は「レッツゴー」という言葉がトレンドだったのでしょう。
今では死語ですね。

話は変わりますが、「ダサい」といえば、海外の有名なバンドの名称の前に
「東京」を付けると、たいていはダサくなりますね。
例えば「東京ビートルズ」や「東京ベンチャーズ」。

それでも地方の人にとって東京は大都会で憧れなのでしょうか。
ツアーで遠方に行った時などに年配の方からよく話しかけられるのは、
「うちの息子は東京で働いています」
それで、「東京のどちらで働いているのですか?」と尋ねると、
「大宮です!」。
「娘が結婚して東京に住んでいます」
それで「東京のどちらにお住まいですか?と尋ねると、
「宇都宮です!」
広いんです、東京って。


さて、早速寺内タケシ演奏の〈レッツゴー運命〉、
コピーにトライしてみることにしました。
もちろん「押入れ」の特訓です。

押入れにレコードプレーヤーを持ち込んで、
夕方から集中してコピーに取り掛かりました。
集中力持続疲れと酸素不足もあってか、
フラフラになって押入れから出てきたのは朝でした。

はたしてこの難曲を全てコピーして弾けるようになったのでしょうか?

〈運命〉やいかに?
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by ymweb | 2007-04-12 18:45 | じゃずぎたりすと物語