宮之上貴昭執筆による長期連載


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じゃずぎたりすと物語 37 〈初コンサート たくさんの初恋?!〉

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結成したギタートリオで練習を重ねると同時に、
例のジャズ雑誌に、ピアノやサックスなど、
さらにメンバー募集の手紙も出していたところ、

後にそれが掲載されました。
この募集記事を見て、他の楽器が私のバンドに参加してくれれば、
きっとゴージャスなサウンドになるに違いありません。
期待が高まります。


ところで自分のトリオのバンド練習では、もっぱらウェスの曲のまるコピーと、
オリジナルやスタンダードを中心に演奏しました。
もちろん自転車旅行の初恋の人に捧げた「To South」も。※25話をご覧ください

ベースの斎藤君のためにベースラインを考えて教えながら進行してゆくので、
練習はとてもゆっくりペースで進んでいきました。
とはいえ、気心知れたこの仲間と一緒に練習するのはとても楽しく、
バンドという媒体を通してジャズがさらに魅力的なものになっていきました。

週に2回、団地の集会所を借りて練習しましたが、
ドラムが入って練習することは、音量の点で問題もありました。
盛り上がって夜遅くまで練習していると、
「音がうるさい」と近所のオヤジが文句を言いに来ます。
「すいません」とその場は謝るものの、オヤジが帰った頃を見計らって、
音量を落としてまた再開します。

とりわけ練習に余念がないのは、実はある目的もあったのです。
それはこの集会場にお客さんを呼んでミニコンサートを開くことでした。
その中には中学校の時から思いを寄せていた女の子にも声をかけていたのです。

「初恋」だと言って、自転車旅行の時に出会った女性のことを書きましたが、

考えてみれば私の初恋はずっと前、そう、世田谷の「さくら幼稚園」時代に
手をつないで一緒に通った「奥田みどり」ちゃんだったかもしれず、
小学校の時に一緒に校庭で鉄棒した「北田早苗」ちゃん、
あるいは中学校の時から思いを寄せている、
今回呼んだ彼女「敦部亜子」さんかもしれません。
※ 名前は変えてあります。

そう、私の場合「初」がたくさんあるのです。

話は戻ります。
このミニコンサートのために、臨時でキーボードに参加してもらうことにしました。
林田君は私と仲良しでピアノの名手。
良家のお坊ちゃまで、一流大学進学を目指していつも勉強していました。
私が彼の家に遊びに行くと、お母さんは決まってジュースやお菓子を出してくれましたが、
その表情の奥には(早く帰ってね)という気持ちも見え隠れしていました。
本当は彼に私のバンドに入ってほしかったのですが、
そのような訳で今回は臨時参加となったのです。


コンサート当日は小雨のしとしと降る寒い日となりました。
来てくれたお客さんは3名ほどで、
残念ながら4人編成のこのバンドより少ない人数でしたが、
その中には亜子さんの姿もありました。

レパートリーが少ないのですが、ウェスのナンバーから〈Missile Blues〉や
〈The Way You Look Tonight〉〈For All We Know〉、
オリジナルの〈To South〉など、6~7曲ほど。
照れ臭いので、メンバーや曲の紹介もしないまま演奏しました。

演奏がすべて終了すると、彼女が私に近づいて、
「2曲目に演奏した曲が良かった」と言ってくれました。
それはオリジナルの〈To South〉でした。
「この曲は自転車旅行の時に恋した女性に捧げて・・・」などと言えるはずもなく、
ここは微妙な笑顔を取り繕って「ありがとう」と言いました。

数日後のこと。
「よしあき 電話よ!」と母が。

「はじめまして。わたし田中と申しますが、
雑誌で拝見した『メンバー募集』の件で電話させていただきました。」

この1本の電話が後にさまざまな思い出をつくることになるとは。。。

                             つづく

写真:宮之上貴昭トリオ
左から斎藤康彦(b) 宮之上貴昭(g) 久島勝則(ds)
「高校生のくせに煙草なんか吸ってんぢゃねーよ!」の図 
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by ymweb | 2008-10-29 12:58