宮之上貴昭執筆による長期連載


by ymweb
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

36話 初めてのジャズバンド結成

〈初めてのジャズバンド結成〉 36

心と体力をしっかり充電して自転車旅行から家に戻った今、
ひねもすジャズギター生活の再開です。

テクニックも大分身に付いてきたし、
いろいろな曲のメロディやアドリブも取れるようになりました。
バンドを組んで仲間と合わせて演奏したいという気持ちは日に日に増してゆきました。

とはいえ、ほんの少年にすぎない私にとって、
この希望を実現させるのはなかなか難しそうです。
ジャズに興味があって、しかもジャズバンドをやろうという
同年代の若者などまずいないでしょう。
実際のところ、学校の仲間が興味を示している音楽はロックでは
「ローリング・ストーンズ」だったり、フォークでは「PPM」だったり。

そんな中、本屋でジャズの本を立読みしていると、
巻末近くに「ジャズバンド・メンバー募集」のコーナーを見つけました。

「当方社会人で45歳、ジャズピアノを勉強しています。」とか、
「ベーシスト募集!当方大学のビックバンドでカウント・ベイシーを演奏。」などなど。

一瞬目を輝かせましたが、そこに載せられている募集情報の多くは社会人か大学生でした。
また自分には演奏したいジャズのジャンルがありました。
そう、自分がリーダーで、自分のアレンジや選曲で思うとおりに演奏したいのです。

メンバー探しはとても時間がかかりそうですが、
毎月出版されているこのジャズの本の情報源は今後も大切にして、
毎月立ち読みすることにしました。

ある時また本屋に行き、メンバー募集の記事を眺めていると、
「当方高校生でドラムを勉強中。ストレートアヘッドなジャズバンドに参加したい」
そう書かれている記事が目に飛び込んだ。

この記事を見逃すはずはありません。
すかさず書かれている電話番号をメモして電話しました。
(当時は現在と違って電話番号や住所をオープンに載せていました。)

「もしもし」

「あ、はい。。。」
高校生にしてはいささかぶっきら棒に電話口に出た少年と来週、
私の高校の音楽室で会う約束を取り決めました。

「はじめまして。」
ひょろっとした風体で音楽室に現れた彼の名は久島勝則(くしま かつのり)。
スネアドラムとハイハットを持参していました。

驚いたことに敬愛するドラマーは何とマクス・ローチだそうです。
これは大きく出たものです。
マクス・ローチといえばモダンジャズドラミングの開祖的人物。
この若さでモダンジャズのドラムを研究しているのでしょうか。。。

私と二人で軽く音を合わせてみる。

軽快なブラッシュワークと確実なスネアのテクニック。
どうやら先ほどの公言は嘘ではなさそうです。

私の出すカウントに一つずつ首を上下に振ってリズムを確認する。
こんな動作が彼の真面目さを物語っています。

お互いすっかり意気投合して、是非バンドを組んで一緒にやって行こう
ということになりました。

しかし低音域とリズムを受け持つ柱であるベーシストがいません。
「メンバー募集」のコーナーを見ても、不足している楽器の多くはベースでした。

私はひらめきました。
そうだ、あいつをベーシストにしよう!「

少しギターをかじっている仲良しで、斎藤康彦という同級生がいました。

しかし彼はジャズというよりはフォークソングしか興味がありませんでしたから、
先ずはジャズという音楽を洗脳させることが先決でした。

会うたびに毎回ジャズの良さを語り、レコードをかけては洗脳してゆきました。
そしてジャズにおけるベースの魅力を伝えると、彼は快く反応しました。
久島君との相性も良かったことが幸いして、
当初は借り物のエレキベースで練習していましたが、
話し合いの末ついにコントラバス購入を決めました。
先ずは形から入り、それからジャズベースを学ぶというわけです。

何とも強引な方法でした。

しかし忠実で謙遜な斎藤君は少しずつでしたが
確実に上達していきました。
ここまできてようやくジャズベースの魅力に気付いたようです。

こうして記念すべき私の初めてのギタートリオが結成されました。

                                  つづく
e0095891_1705511.jpg

[PR]
by ymweb | 2008-08-19 16:42 | じゃずぎたりすと物語