宮之上貴昭執筆による長期連載


by ymweb
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6 〈ギターが!!〉

「おふくろ、金貸してくれよ」

そう、兄はお金の無心に来ていたのです。

私はしばしばこの光景を目にしていました。

考えてみれば、当時兄は24、5歳で一人暮らしでした。

日払いのダンプの運転手などをしていたようですけど、
生活は安定しているとは思えません。
しかし幼い頭ではその状況など理解することが出来ませんし、
大好きな父が、そうした兄の行動にいつも批判的だったので、
私の考えも父の見方に影響されて兄を嫌うようになったのかもしれません。

兄の発する言葉に私がいちいち揚げ足を取ったのでしょう。
「よしあき!この野郎!!」 兄は突然キレました。

私の胸ぐらをつかんで押し倒し、部屋に立て掛けてあったギターのほうに向かい、
弦を思いっきり引っ張って、全ての弦を切ってしまいました。

ギターが、大切にしていたギターが。。。。

いくら兄からもらったとはいえ、これほど悔しいことはありません。

さんざん母と口論の末、兄は出て行きました。

母は泣いている私を見て憐れに思い、
「よしあき、大切なギター壊れちゃったね。。。」
「そうだ、上馬のお婆ちゃんに相談してみようね。」
「お婆ちゃんだったらよしあきを可愛がっているから、
訳を話せば新しいギターを買ってくれるかもしれないよ」

早速お婆ちゃんに電話をかけてくれました。上馬の。

でも、ちょっと待ってください。

考えてみればギター自体は壊れていませんから、
弦を取り替えるだけでよかったのではないでしょうか?

そう、1セット買うだけで済んだはずですね。

幼い頭では「弦が切れたらギターという楽器は終わり」なのでしょう。
母もそう考えていたのでしょうか。。。

そういえば、もらってから一度も弦は交換していませんでした。

とにかく上馬のお婆ちゃんのOKが出たそうで、
週末にはお婆ちゃんと三軒茶屋に行って、
新しいギターを買ってもらうことになりました。

もう気分は一転、ルンルンです。
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by ymweb | 2007-04-07 18:31 | じゃずぎたりすと物語